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レム睡眠行動障害

夢に合わせて、体が動いてしまう。
しくみを知って、安全な眠りを整えましょう

寝ている間の大きな動きに、
驚いた方へ

夜中に突然大声で叫ぶ、手足を振り回す、ベッドから落ちてしまう——そんな様子を目にして、心配になってこのページを開いたご家族も、「自分は何をしているのだろう」と不安になっているご本人もいらっしゃると思います。

まずお伝えしたいのは、この動きは、ご本人が意識してやっているものではないということです。眠っている間の脳のしくみによって起きているもので、性格や暴力性の問題ではありません。

このページでは、このような状態のひとつであるレム睡眠行動障害(RBD)について、しくみ・似ている状態との違い・検査・けがを防ぐ工夫・治療をまとめました。似た様子を示す状態はほかにもあり、最終的な診断は医師が診察や検査をもとに行います。気になることは、このページだけで判断せずに相談してください。

夢の中の動きが、
そのまま体に出てしまう

眠りには、深くしずかな眠りと、夢を見やすい眠り(レム睡眠)があり、ひと晩のうちに何度も入れかわっています。

レム睡眠のあいだ、脳は活発に働いて夢を見ています。けれども、ふつうは体の筋肉が脱力して動かないしくみが働いているので、夢の中で走ったり戦ったりしても、実際の体は静かに横になったままです。

😴

ふつうのレム睡眠

夢を見ていても、体は動かない

筋肉がゆるんでいるので、夢の中の動きは体に伝わりません。

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レム睡眠行動障害

夢に合わせて、体が動く

「動かないしくみ」がうまく働かず、夢の内容どおりに声が出たり手足が動いたりします。

こんな特徴があります

  • 夢は、追いかけられる・襲われる・戦うといった内容が多い
  • レム睡眠が増える夜の後半から明け方に起こりやすい
  • 途中で起こされると、見ていた夢の内容を話せることが多い(「襲ってきた相手から家族を守ろうとしていた」など)
  • 中高年以降に多い

夢の中で身を守ろうとしている動きなので、隣にいる大切な人を傷つけようとしているわけではありません。

ご家族が見ている場面

一緒に暮らしている方が、次のような様子に気づくことがよくあります。ご本人は覚えていないことも少なくありません。

🗣️
寝言がはっきりしている、大声で叫ぶ

会話をしているような寝言、怒鳴る、助けを求めるように叫ぶ。

👊
殴る・蹴るような動きをする

布団の中で腕を振り回す、足で蹴る。何かから身を守るような動き。

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ベッドから落ちる

夢の中で逃げたり飛びかかったりして、ベッドから転げ落ちてしまう。

🩹
ご本人や隣で寝ている人がけがをする

壁や家具にぶつかってあざができる。隣で寝ている人に手や足が当たってしまう。

💬
起こすと、すぐに夢の話をする

目が覚めると比較的すぐに状況がわかり、「怖い夢を見ていた」と話せる。

似ている状態との違い

夜中に声を出したり体が動いたりする状態は、ほかにもあります。見分けるための目安をまとめました。色のついた行が、このページのレム睡眠行動障害です。

表は横にスクロールできます →

状態 起こりやすい人・時間 ご本人の記憶 特徴
レム睡眠行動障害 中高年以降に多い。夜の後半から明け方 起こされると夢の内容を話せることが多い 夢の内容に合わせて、叫ぶ・殴る・蹴るなどの動きが出る
夜驚症・夢遊病 子どもや若い人に多い。夜の前半 覚えていないことが多い 深い眠り(ノンレム睡眠)から中途半端に目覚めて起こる。おびえて叫ぶ、歩き回るなど
睡眠時無呼吸 いびきが大きい方。夜のどの時間でも 覚えていないことが多い 息が止まったあと、呼吸が戻るときに体が大きく動いたり、声が出たりすることがある
悪夢 年齢を問わない 怖い夢をはっきり覚えている 怖い夢で目が覚めるが、体は動かない
夜間のせん妄 高齢の方、体調をくずしているとき、入院中など あいまいなことが多い 眠っているのではなく、起きていて混乱している状態。つじつまの合わない言動、落ち着かなさ
てんかん発作 年齢を問わない 覚えていないことが多い 毎回よく似た動きをくり返すことがある。手足のけいれん、口をもぐもぐさせるなど
📱 自己判断せず、動画を撮って受診を

表はあくまで目安で、いくつかが重なっていることもあります。見分けるには専門的な検査が必要なこともあるので、ご家庭で決めつけずに相談してください。夜中の様子をスマホで撮った動画は、診断のとても大きな助けになります。撮り方のコツはご家族への項目にまとめています。

原因と、
知っておいてほしいこと

💊 お薬やお酒が関係していることがあります

一部の抗うつ薬などのお薬によって、この症状が起きたり、強まったりすることがあります。また、多量の飲酒や、飲み続けていたお酒を急にやめたときにも起こることがあります。

心あたりのあるお薬があっても、自己判断でやめないでください。急にやめると、かえって体調をくずすことがあります。飲んでいるお薬は、お薬手帳ごと主治医に見せて相談しましょう。

🧭 大切なことを、正直にお伝えします

お薬などのはっきりした原因が見あたらないレム睡眠行動障害は、長い年月のうちに、パーキンソン病レビー小体型認知症といった病気の早いサインであることが少なくないとわかってきました。これらは、脳にαシヌクレインという同じ種類のたんぱく質がたまる病気です。

こう聞くと、怖くなってしまうかもしれません。けれども、あわせて知っておいてほしいことがあります。

  • ほかの病気が出てくるまでの期間は、人によって大きく違います(年単位のこともあれば、十数年以上のこともあります)
  • 必ず発症するわけではありません。
  • レム睡眠行動障害そのものは、安全対策や治療で付き合っていくことができます
🌱 早く気づけたことは、備える時間ができたということ

この症状に気づいて相談につながったことには、大きな意味があります。定期的に経過をみていくことで、ほかの変化が出てきても早く見つけ、早く手を打つことができます。体を動かす習慣を続ける、よく眠る、人とのつながりを保つ——今日からの暮らしも、大切な備えになります。

不安な気持ちになるのは自然なことです。ひとりで抱えこまずに、心配なことはそのまま診察で話してください。

経過をみていくうえで、次のような変化に気づいたら、次の診察で伝えてください。

👃 においがわかりにくい

料理のにおいや焦げたにおいに気づきにくくなった。

🍃 便秘

なかなか治らない便秘が続いている。

💫 立ちくらみ

立ち上がったときにふらつく、目の前が暗くなる。自律神経のしくみ

✋ 手の動きのぎこちなさ・ふるえ

ボタンがとめにくい、字が小さくなった、じっとしているときに手がふるえる。

🧩 もの忘れ

約束を忘れる、段取りがうまくいかないことが増えた。

🌧️ 気分の落ち込み

気持ちが沈む、何をしても楽しめない、不安が強い。

診断のために行う検査

💬
問診

いつごろから、どんな動きが、夜のどのあたりで起きているか。ご本人は覚えていないことも多いので、一緒に寝ているご家族のお話がとても大事です。

📱
夜間の様子の動画

スマホで撮った動画があると、どんな動きなのかを医師が直接確かめられます。

🛌
睡眠ポリグラフ検査

医療機関に一晩泊まり、眠っている間の脳波・筋肉の動き・呼吸などを記録します。レム睡眠中に筋肉が脱力していないことを確かめるための、診断にいちばん大切な検査です。睡眠時無呼吸など、似ている状態との区別にも役立ちます。痛みのある検査ではありません。

🔍
必要に応じて行うこと

においの検査、手足の動きや反射をみる神経の診察、もの忘れの検査、頭の画像検査(MRI など)を行うことがあります。

けがを防ぐ寝室づくり

治療の第一歩は、けがを防ぐことです

レム睡眠行動障害では、ご本人がベッドから落ちたり家具にぶつかったりして、また、隣で寝ている方に手足が当たって、思わぬけがをすることがあります。お薬を使うかどうかにかかわらず、まず寝室の安全を整えてください。今夜からできることばかりです。

0 / 8 できています

チェックした内容は、この端末の中だけに保存されます。ほかの人に送られることはありません。

治療について

① いちばん大切なのは、安全対策

上の寝室づくりが、治療の土台です。お薬を使う場合も、安全対策は続けてください。

② 必要に応じて、お薬を使います

動きが激しい、けがの心配がある、といった場合には、お薬で症状をやわらげることがあります。よく使われるお薬のひとつにクロナゼパムがあります。

  • 翌朝に残る眠気や、ふらつきが出ることがあります。夜中にトイレに立つときの転倒に注意してください
  • 睡眠時無呼吸がある場合は、呼吸への影響を考えて慎重に使います
  • 量や飲み方は、効き目と副作用をみながら主治医と調整します

お薬の個別情報

③ 原因になっているお薬がある場合

飲んでいるお薬が症状に関係していそうな場合は、主治医とお薬の調整を検討します。もとの病気の治療とのバランスを考えて決めるので、自己判断でやめずに相談してください。

一緒に暮らすご家族へ

🌿 ご本人を責めないでください

ご本人は、夜中のことを覚えていないことも多く、翌朝に聞かされて驚き、申し訳なく感じていることもあります。夢の中で誰かを守ろうとしていた、ということも少なくありません。

💗 ご家族の気持ちも、大切です

叩かれて痛かった、夜中に叫び声で起こされて怖かった、眠れない日が続いている——そう感じるのは当然のことです。ご家族の睡眠と安全も、同じくらい大切にしてください。つらさは、診察で遠慮なく話してください。

🏥 受診に同行して、見た様子を伝えましょう

どんな動きや声だったか、夜の何時ごろだったか、どのくらいの頻度か、けがはあったか。簡単なメモでもとても役に立ちます。睡眠日誌に書きとめておくのもおすすめです。

📱 動画の撮り方のコツ
  • 暗くて映像がよく見えなくても、声や物音が入っていれば役に立ちます。音声だけの録音でもかまいません
  • ベッドから少し離れた場所にスマホを置いたままにすると、ご家族も安全です
  • 動いている最中に、無理に体を押さえたり、揺すって起こしたりしないようにしましょう。名前を呼ぶなど、離れたところから声をかけるほうが安全です
  • 撮影する前に、ご本人の同意をもらっておきましょう。「受診のときに先生に見てもらうため」と伝えると話しやすくなります

こんなときは早めに受診を

🚑 すぐに救急へ
  • けがをして、出血が止まらない
  • ベッドから落ちるなどして、頭を強く打った(その後に吐き気・強い頭痛・ぼんやりする様子がある場合も含む)

迷ったときは、ためらわずに119番に連絡してください。

🩺 早めに相談してほしいとき

  • ご本人がけがをした、または隣で寝ている人にけがをさせてしまった
  • 夜中の動きの回数が増えてきた、動きが激しくなってきた
  • 昼間の強い眠気が続いている
  • もの忘れ手のふるえ歩きにくさなど、ほかの変化が出てきた

レム睡眠行動障害のQ&A

Q治りますか?
お薬などがきっかけになっている場合は、その調整で落ち着くことがあります。はっきりした原因のない場合は、すっかりなくすのは難しいことが多いのですが、寝室の安全対策とお薬によって、けがを防ぎ、症状をやわらげながら穏やかに過ごしている方はたくさんいます。「なくすこと」よりも「安全に眠れること」を目標に、一緒に考えていきましょう。
Q認知症になるのですか?
はっきりした原因のないレム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症やパーキンソン病の早いサインであることがあります。けれども、必ずそうなるわけではなく、変化が出るとしても、その時期は人によって大きく違います。大切なのは、ひとりで心配し続けるよりも、定期的に経過をみて、変化があれば早めに手を打つことです。気づけたことで、備える時間ができています。くわしくはこちら
Qお酒を飲んだ夜に多い気がします
お酒は眠りのリズムを乱し、夜の後半の眠りを不安定にします。多量の飲酒や、飲み続けていたお酒を急にやめたときに、症状が出たり強まったりすることもあります。お酒の量や飲む時間を見直してみるとともに、どのくらい飲んでいるかを診察で教えてください。毎日たくさん飲んでいる方は、急にやめずに、やめ方も含めて相談しましょう。
Q寝言だけでも受診したほうがいいですか?
寝言は、誰にでもあるものです。寝言だけで、すぐに心配する必要はありません。手足を大きく振り回す、ベッドから落ちる、けがをしたといった体の大きな動きがあるときは、一度相談してください。迷うときは、診察のついでに「こんな様子があります」と伝えていただくだけでも大丈夫です。
Q動いているときに、起こしたほうがいいですか?
動いている最中に体を押さえたり揺すったりすると、夢の中の相手と間違われて、手足が当たってしまうことがあります。少し離れたところから名前を呼ぶくらいにして、まわりの危ない物をよけることを優先してください。何より、寝室の安全対策で「起きても大丈夫な環境」をつくっておくことが大切です。

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🛏️ このページで伝えたかったこと

寝ている間の大きな動きは、わざとではありません。
夢に合わせて体が動いてしまう、眠りのしくみの問題です。

いちばん大切なのは、今夜からの寝室の安全
お薬は、自己判断でやめずに主治医と相談を。

早く気づけたことは、備える時間ができたということ。
ご本人とご家族と一緒に、経過を見守っていきましょう。

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