安心して休むための準備ガイド
休職は「逃げ」ではありません。
こころや体が限界を迎えているとき、休養をとることは回復に向けた大切な一歩です。骨折したら歩かないように、こころが疲れきったときも「休む」ことが最も効果的な治療になります。
このてびきでは、休職に入るときの流れや手続き、休職中の過ごし方をまとめています。不安なことがあれば、いつでも診察でご相談ください。
「まだ頑張れる」と思っているうちに、こころと体はサインを出しています。次のような状態が2週間以上続いていたら、診察で休職について相談するタイミングです。
数日の有給休暇で回復するなら、まだ大丈夫なことも多いです。休んでも戻らなくなってきたら、それはエネルギーの残高が減っているサイン。早めに休むほうが、結果的に休む期間は短くて済みます。迷っている段階での相談も歓迎です。「休職するかどうか」を一人で決めてから来る必要はありません。
「消えてしまいたい」「死にたい」という考えが浮かぶときは、2週間待つ必要はありません。次の診察を待たずにご連絡ください。夜間・休日は画面下のSOSバナーから相談窓口につながります。
現在の状態を診察し、休職が必要と判断した場合は診断書を作成します。診断書には病名と休職の推奨期間が記載されます。初回は1〜2ヶ月程度が一般的で、状態に応じて延長します。
診断書を上司や人事部門に提出します。直接の対面が難しい場合は、メールや郵送でもかまいません。休職に入ることと、連絡手段(メールなど)を伝えておきましょう。
伝える内容の例:
・ 医師から休養を指示されたこと
・ 診断書を添付すること
・ 休職中の連絡手段(メールなど)
・ 引き継ぎ事項(簡潔に)
健康保険の傷病手当金を申請しましょう。給与の約2/3が、支給開始日から通算1年6ヶ月支給されます。申請書は会社の健康保険組合または協会けんぽから入手できます(会社が用意してくれることも多いです)。
傷病手当金は「働けなかった期間」を事後に証明して申請するしくみです。未来の分を先に申請することはできず、主治医の意見欄(医師の証明)も、実際に休んだ期間についてしか書けません。
申請書の医師記入をお願いできるタイミングは、次のどちらかです:
🅐 休みが1ヶ月以上になった時点で、経過した分から月単位で申請(診察のときに申請書をお持ちください)
🅑 復職してから、休職期間全体をまとめて申請
つまり、休職に入る前にやることは「申請書の入手」と「給与の締め日・提出先の確認」まで。それ以上は先に進められないので、安心して休養に入ってください。
・ 支給の対象は、連続3日の待期(土日・祝日・有給も数えます)のあとの4日目から
・ 会社の証明欄も経過した期間について記入してもらい、健康保険に提出します
・ 振込までは申請から2週間〜1ヶ月ほどかかります
・ 有給休暇で給与が出ている期間は支給されません(有給を先に消化するかは会社と相談)
生活費が心配な方は 🅐 の月単位の申請がおすすめです。毎月の手続きがつらい方は 🅑 の復職後にまとめてでかまいません(支給対象日ごとに2年で時効なので十分間に合います。ただし振込もその分あとになります)。「すぐ手続きしなきゃ」と焦らず、まずは療養を優先してください。
手続きが終わったら、まずはしっかり休むことに集中しましょう。「何かしなければ」と焦る必要はありません。回復の最初のステップは、十分な休養です。
必要なものを確認してチェックしていきましょう。一度にやる必要はありません。
回復には段階があります。ここに書いた期間はあくまで目安で、人によって早くも遅くもなります。診断書の期間が延長になるのはよくあることなので、予定より長引いても焦らないでください。
この時期にやることは「休むこと」だけです。
📋 手続きメモ: 診断書の提出と会社への連絡だけ済んでいれば十分。傷病手当金はまだ申請できない時期なので、動かなくてOKです。
気力が少し戻ってきたら、生活リズムを意識し始めましょう。
📋 手続きメモ: 傷病手当金の申請はまだ先です(休みが1ヶ月を超えてから)。申請書の入手と締め日の確認だけ済ませておきましょう。自立支援医療はこの頃までに申請しておくと安心。
主治医と相談しながら、徐々に活動の幅を広げていきましょう。
📋 手続きメモ: 休みが1ヶ月を超えたら、経過した分の傷病手当金を申請できます。診察のときに申請書をお持ちください(以降は月1回のペース。復職後にまとめてでもOK)。診断書の期限が近づいたら、延長するか診察で相談します。
生活リズムが安定し、日中の活動が続けられるようになってきたら、復職準備のスタートです。
📋 手続きメモ: 復職には「復職可能」の診断書が必要になります。詳しい進め方は復職プログラムガイドへ。
回復は一直線ではありません。良い日と悪い日を繰り返しながら、少しずつ良い日の割合が増えていくのが一般的です。「昨日は調子良かったのに今日はダメだ」と落ち込む必要はありません。ここに書いた月数より長くかかっても、それはあなたの回復が「遅れている」のではなく、あなたのペースがそうだった、というだけのことです。
リワークは、決まった時間に通所して、生活リズムづくり・軽い作業・再発予防のプログラム(認知行動療法など)に取り組む「復職の練習の場」です。全員に必要なものではありませんが、次のような方には特におすすめです。
医療機関で行うリワークです。健康保険が使え、自立支援医療を使えば自己負担1割になります。認知行動療法・集団プログラム・疲労回復の練習など治療的な内容が中心で、再発予防の効果が最も研究されています。通院先とは別の医療機関のリワークに通うこともできます。ご希望の方には近隣の実施機関を紹介しますので、診察でご相談ください。
各都道府県にある公的機関(障害者職業センター)が行う無料のプログラムです。会社・主治医・センターの三者で復職プランを作るのが特徴で、職場との調整を含めて支援してほしい方に向いています。※雇用保険が財源のため、公務員の方は対象外です。
会社によっては、復職前に短時間の「試し出勤」「リハビリ出勤」制度や、契約している外部相談機関(EAP)のプログラムがあります。就業規則や人事に確認してみましょう。
「リワークに行くべきかどうか」から相談して大丈夫です。休職期間・職場の状況・通える範囲にある施設によって、合う選択肢は変わります。リワークを使わずに復職する方もたくさんいます。
健康保険に加入している方が対象。連続3日間の待期期間(土日・祝日・有給も含む)のあと、4日目から給与の約2/3が支給されます。支給期間は支給開始日から通算1年6ヶ月(途中で復職した期間はカウントされません)。申請は事後のみ——休みが1ヶ月以上になった時点から月単位で申請するか、復職後に休職期間全体をまとめて申請します(支給対象日ごとに2年で時効)。退職することになった場合も、加入期間が1年以上あるなど条件を満たせば退職後も引き続き受給できます。
精神科の通院にかかる医療費の自己負担が3割→1割に軽減されます。申請はお住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口で行います。主治医の診断書(専用様式)が必要です。
休職中も住民税や社会保険料の支払いは続きます。会社から請求される場合と、自分で納付する場合があります。支払いが難しい場合は、市区町村に減免・猶予の相談ができます。
医療費が高額になった場合、限度額適用認定証を提示すると窓口での支払いが自己負担限度額までになります。健康保険組合に申請できます。
以下のことは回復を遅らせてしまうことがあります。
ご本人にとって、休職は大きな決断です。「仕事を休んでいる」という罪悪感を抱えていることが多く、ご家族の何気ない一言が大きな影響を持ちます。
支える側も疲れます。一人で抱え込まず、周囲の方や相談窓口を利用してください。ご家族だけで診察を受けることもできます。
休職に至った経緯を整理するツール。診察や書類作成に役立ちます。
復職に向けた5つのステップと準備チェックリスト。
自立支援医療・障害者手帳・障害年金などの制度情報。